プレゼンテーションボード
ここ、えび家さんは法善寺横丁の西の入口から入ってすぐにあり、有名な水掛け不動がすぐ裏手にあります。火災の復興ということで、主に現状復帰に伴う意匠設計ではありますが、何かここで初めて行うことのできるものはないかと考えていました。なにかここでしかできない象徴的なことはないか…。
現地下見をしたときに焼け焦げた3階から水掛け不動がすぐ見下ろすことが出来ました。今まではこの方角で特に意匠的な配慮が無かったとの話を伺い、この風景を望む象徴的な窓をつくろうと思いました。そこで、お寺によく見られる華頭窓を引用し、それを桃のようなかわいらしい造形としたうえで、ここから水掛け不動を見下ろす桟敷席のような欄干付きの窓を造作してもらいました。窓に二人で腰掛ければ、ふわりと桃の柔らかいラインが後光のように二人を包み、またそこからこの地域の象徴としての水掛け不動をながめることができます。ひっきりなしに観光客が水をかける光景を眺めるひと時。それを胸に刻んでまたこの界隈を散策していただく…。奇しくもこの水掛け不動は恋愛成就の縁起があるとされています。
大阪の風情を来訪される方々に少しでもより深く味わってもらえる仕掛けとして、全体意匠のかなめとしました。
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