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■概要
大きさ:L2,040×W660×H780
主な材料:ラワン単板、タモ突板、金物(既製品)
仕上げ:本体座面: 自作プライウッド、サンド処理の上
EPおよび着色ニス塗
本体その他部分: 自作プライウッド、サンド処理の上着色ニス塗
製作人・日数:18人・日 |
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淀川・大和川などの河川が運ぶ堆積物による沖積平野が現在の大阪中心部を形成する以前、古代都市は上町台地に造営された。したがって遺跡の多くはこ
の上町台地から出土する。その東斜面、森之宮の日生球場は'97年の閉鎖以降、跡地利用が進まないが、それはひとえに弥生期から江戸までの埋蔵物への
対策に膨大な費用を要するのが原因である。調査コースの中にここを選んだ理由はかつての大阪の水辺がここを出発点とするからだ。このなだらかな丘をこえ
、今や10km先まで遠ざかった河口までの道のりを調査コースの方向軸とした。それは江戸期まで大阪城を頂点とした東西を「通り」とする都市軸でもある。か
つてはその都市軸の先に瀬戸内海、そしてはるか朝鮮半島、中国大陸へと眼差しを向ける意識も含まれていた。
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■ダイアグラム
(図1)
左側:人体から座面の曲線を導く
右側:2002.年8月14日における潮位の変化
(図2)
上町台地をこえて大阪湾(西)の方向へ降りてゆく身体感覚(標高差約20m)
(図3)
左側:人体スケール
右側:大川〜安治川の流路から転写した輪郭線
真中:それぞれの形態要素を座面に転写する
この 一日の調査は我ながらハードであった。事務所へようやくたどり着き、倒れこむように身体を横たえたとき、
その日見てきた光景は消えることなく脳裏にぐるぐると回り続け、自転車で走り抜ける体の感覚は消えずに残っていた。
これと、水都再生というテーマとどう関係があるのかと思いつつ、シーツにしみた汗を見ながらこの印象を転写する記録媒体として寝椅子を思いついた。
今回の調査の目的は大阪という都市の地理的原風景 を確認する作業でもあった。いかなる作用と意図を持ってこの地がかたちづくられてきたか。あるいは「大阪」の2文字を取り去ってもその場所を表すもの。製作者のフィルターを通してリアルであった形態的特徴の一側面を転写
することにとりあえず目標を定めた。
上記の(図1)〜(図3)の構成要素のうち(図1)については時間と潮位は日によって少しずつ異なることから、日時そのものが記録されたものといえる。時空間の交点が場所と時代を語りうる可能性に、古代の遺跡から都市の形や文化
を読み解いてゆくのと共通の夢を見たような気がした。たしか18世紀ヨーロッパ建築の新古典主義は古代遺跡の実測調査をベースにしていたのではなかったか。
つかの間の休息が次の都市への構想へと拡大する。その根っこ、あるいは種子のように保つべき方向性がプログラムされた底辺をつくりたいという考えもあっ た。究極のメッセージとはパイオニアシリーズ(惑星探査機)に託された地球外知的生命体への銘版のように分析されることを前提に単純化され、記号性を帯
びてゆく。 |
パイオニアシリーズ(米国惑星探査機)に搭載された地球外知的生命体に向けた銘板
制作風景
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イ) 単板にボンドを塗り、一枚ずつ繊維方向を変えながら貼り合わせていく |
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ロ)型枠をつくり、ボンドが乾かないうちに裏表から圧縮する。 |
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ハ)4日程たってから、型枠をはずし、輪郭を整える。 |
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ニ)塗装後、制作した各パーツを組み合わせて完成。 |
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