大阪・奈良の建築設計事務所:一級建築士事務所 基本フォルム。建築家 高橋俊介による主催。
 
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AQUATECTURE その(4) ペット道路

■概要 大きさ:L870×W270×H100
主な材料:ラワン単板、タモ突板、キャスター
仕上げ:自作プライウッド、サンド処理の上着色ニス
製作人・日数:5人・日


プライウッドの形成

大阪市中心部の阪神高速道路は水路の上に建設されているものが多く、その意味では水辺と関わりが深い。道路と水路はいずれも物を移動させるこ とを旨とした点で共通している。ただ、その使い道以上に都市空間に与える影響は無視することはできない。水路といった水辺空間に対してはある程度の親しみを我々は共有している。ところがモータリゼーションの発達した時代における人と道路との関わりは歴史的に日が浅く、手法は開発途上である。水辺空間の再生のあり方を考えるとき、同時に道路空間のあり方を考えることは環境への相乗効果が期待できる点で重要である。今回の調査では本来の目的とは別の隠された使い道や効果に着目し、道路を広さが連続したひとつのフィールドと捉えて可能性を探った。下はその考察の断片を示している。今後、道路の意味を見直し、枠組みを広げながら再構築するシステムへ発展させる 可能性を検討する。



大震災で倒壊した阪神高速神戸線 東灘付近。('95.1.19撮影)
多くの犠牲を出し、時を待たずして撤去されたが、突如切断され地上と地続きになった高速道路に今までとは違う道路空間の姿を見た。道路で ありながら道路でない、水の無い川を思わせる不思議な連続した広がりが強く印象に残った。




澪標(みおつくし)と水面

河口に立てられ、船が航行できる水脈を知らせる標識。大阪の繁栄は水運の出船入船によるところが大きいと大阪市章に採用された。水面は刻々と干満を繰り返し、と きに暴れる。我々は不確定要素の多い変化のある環境の姿に却って共鳴することがある。



堂島川にクロソイド曲線の影を落とす阪神高速道路。

上下左右にうねるこの構築物をかっこいいと思うかどうかは世代で分かれるらしい。




日常生活の中で、道路の白線ほど行為と領域の関係を結び付けている境界線は無いのではなかろうか。法律で定められた決まりごと以上にあうんの呼吸や暗黙の了解が境界線を介して繰り広げられ、倫理観を共有している。(写真)行儀よく停止線で揃っている様を上から眺めるとどこか日本的な作法を連想させないだろうか。(梅田曽根崎警察署前)



歩行者天国の高速道路。(朝日新聞02.8.18より)

  歩行者天国の高速道路。(朝日新聞02.8.18より)
「1千万人都市サンパウロ(ブラジル)の中心街を走る高速道路。高層ビルの間を曲がりくねっているため、愛称は『大ミミズ』 だ。日曜日と祭日は、その高架の約2.7kmの区間が歩行者天国になる。(中略)'90年頃から市民の憩いの場に使われるようになった。(後略)」




スケボーをする若者。

道路そのものを遊び場にしている。どちらかというと平坦よりも起伏を好み、
それをクリアするため日夜技を磨くのに余念が無い。



北区出入橋。

高速道路の下には橋の欄干とともに埋め戻された水路の痕跡が今も残る。
ここには大阪駅と堂島川をつなぐ運河があった。物の流れだけでなく、
時間も止まったようになっている。



ゲートも何も無い北浜出口ランプ。

進入禁止の小さな標識だけが高速道路の聖域を守っている。
日当たりの良い川辺の緩やかな斜面は車が走っていなければいい散歩道になるだろう。



交通公園のイメージ。

児童に交通ルールを教えるための従来の交通公園ではなく道路の枠組みを
変化させるための「公園に近い性質を持つ道路」(図右)。 道路交通法を適用する。
調査で採集 した要素を盛り込み都市に点在させる(図左)。道路を水辺のような
副産物を生むフィールドに変える働きを持つ。



「ペット道路」とは親しみの持てる道路空間の断片を指す。
水運の担い手だった運河が道路に取って代わるにつれて次々に姿を消したように、
やがて現在の道路の形式が他の何かにその座を譲るときの来ることを想定して
メモリアルグッズを製作した。「ストリートをこよなく愛する人のためのメモリアル、
高架道路のモチーフをあしらったレトロタイプのスケボー」




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