大阪・奈良の建築設計事務所: 基本フォルム一級建築士事務所。建築家 高橋俊介による主催。リノベーション。

 
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花園の家 (2009年)

大阪ガス住宅設計アワード2011〈特別賞受賞〉


こちらは大阪の典型的な下町にある鉄骨造の3階建住宅をリノベーションしたものです。
築25年以上が過ぎ、クライアントご家族も少しずつ時が移り変わる中でいままでの間取りでは対応しきれなくなりました。
そこで建物の躯体には手を加えず、内部を人の住み方や距離感を考慮しながら全く違う空間につくり変えました。 曲面壁を間仕切に大胆に取り入れ、外の下町の印象からは想像のできない豊かな内部空間が生まれています。




建物が重量鉄骨で柱が外壁側にしかありません。それを利用して内部は自由な曲線で構成しています。
これは3階の「たまり」とよぶ家族スペースから、水廻りを見たものです。
左に対面式のキッチンがあり、右の穴の向こうが洗面、トイレです。右端の一段上がったところは子供室で床下収納とロフトがあります。左側の奥は主寝室になります。


3階平面と周辺の町並み

場所は大阪の下町にあり、周囲は建て混んだ密集地です。3階の窓からは屋根越しに生駒山が望めます。
細かいグリッドの街並みの延長に空間を直角で区切るのとは趣向を変え、曲線で各部分のエリアや個人のバウンダリーに配慮しながら間仕切を調整しています。曲面で壁を仕切ることにより外部の空間構造から一旦絶縁し新たに内部から場を定義し直すという意図がありました。
そのことで得た自由なムードは他では変えがたい安らぎを建物全体に与えました。

最初のヒアリングではクライアントの要望は「シンプルモダン」でしたが、ヒアリングを進めるうちに要望がこのスペースには収まらないことが判明。曲面で構想を練るとそれが収まり、最初のプレゼンテーションでほぼこれに近い案を提出しました。断られることも考えましたが、以外にも(?)それが採用され、若干の変転を経てこのプランが実現しました。そこでのクライアントからの評価は「十二分に私たちの意図をくんでくれている」というものでした。



半透明の間仕切は「ワーロン」とよぶ透過性の素材で小ブースになっていて、奥の窓からの光をこちらに伝えます。中は子供一人一人のスペースです。
左端もワーロンですが、ここは中にパーフェクトバリアーと呼ぶ断熱材が充てんされており、部屋の独立性を高めます。
キッチンカウンターの下に見える穴は曲面の内側を利用した小物棚です。



子供室内部。子供一人一人にブースで仕切られた空間があります。こちらは3人兄弟で男の子ばかり。
完全に個室として閉じるわけでもなく、また完全に同室というわけでもなく、適度な距離をこの手法で保つことができます。また透過性のない素材で仕切ってしまうと窓からの光を遮断してしまい、暗くて閉塞感のある空間になったことでしょう。



同じく子供室を反対側から見る。
奥に行くにつれて曲面壁に挟まった隙間をぬってブースに入れることがご覧いただけます。
正面の壁上部の穴はロフトです。ここにも子供一人分のスペースがあります。
屋根スラブと外壁面には新たに断熱を施しています。


既存内観。以前はこのように中廊下式の間仕切がありました。
各部屋に窓がありますが、廊下はいつも暗くドアが並んでいるという風情。
ノスタルジーはありますが、新しい生活にはなじみませんでした。

 

 

こちらは2階。
間取りは3階と原則同じですが、曲面壁のすごいところは、曲面の膨らませ方や、壁の端部の振り方で全く間取りが変わってしまうこと。中央の小部屋は袋小路で今はウォークインクローゼットにつかっておられます。物の整理の仕方によっては書斎のように使ってもいいかもしれません。
右のワーロン壁のブースはサニタリースペースです。


2階の「たまり」。右半分で幻想的に光っているのは階段室。2階と3階は親世帯―子世帯の関係で、お風呂などは共同で使用します。お風呂を使う時間帯には、ここが2世帯共同のスペースになります。
キッチンは既製品を使用していますが、曲面の壁を纏うことでオリジナルな対面キッチンとなりました。



2階の居間。この大きなふくらみによって建具はなくとも居間の独立性が確保されます。空気や光は流れるので閉じこもった感じには決してなりません。
このぐにゃぐにゃの内部空間はどこにいても互いの気配を感じることができ、それでいて距離も置くことができるいい方法で、広さの感覚もあいまいになる魔法の手法です。
一方でちゃんとモノが収まるよう、直線の部分も確保されています。




先ほどの階段室の内部。
既存の躯体や階段に合わせて一部を廻り階段的な収まりで省スペースを実現しています。
中央は鉄の丸棒を曲げ加工した手摺。
ワーロン壁を介して光や気配を伝えます。
新築と比べて違う所は光の使い方が躯体構造以降で取り扱う必要があること。
どうしてもクリアしたい条件があるのでずいぶん頭を使いますが、結果としては想像されている以上に良いものになります。




   


 
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