大阪・奈良の建築設計事務所 基本フォルムの注文住宅 京都鳴滝の家:京都市,変形地住宅,風致地区,工房付き住宅。

 
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京都鳴滝の家の施工監理レポート(2008年)

木造在来工法の着工から竣工までの流れをご紹介します。


 

建築はその瞬間瞬間にそれぞれ美しい姿を現します。
時には施主様と一緒に工場を見学したり、セルフビルドをするなどイベントを試みました。



施工会社による見積もりを終え、金額の調整を経てクライアントと施工会社の間に工事請負契約を行います。

それまでに、設計の方で風致地区の建築許可と、建築基準法上の確認申請が行いました。

契約から着工の間に、クライアント、施工会社、設計者と連れだって近隣挨拶、地鎮祭を行いました。

 

 







 

地業工事の様子。

地盤調査により一部軟弱であることが判り、表層地盤改良を施しました。

その上に防湿シートを敷き基礎工事の下地をつくります。


 

遣り方の様子。

建物の位置を正確に確定するために水糸を張っています。宙に張り巡らされたグリッドはいつ見ても凛とした心持になります。
手前に深基礎の基礎配筋と型枠が見えています。


 

鉄筋を組む。

べた基礎の配筋が見えています。


 

基礎工事の完了。

コンクリートはセメントの比率を高めに設定し、耐久性を高くしています。



 

プレカットの様子。

現場で基礎工事を進める間に、プレカット工場では柱や梁などといった構造材の加工が行われています。機械で加工できない形状は職人が手加工します。檜、杉、集成材など適材適所で材料が構成されています。柱はすべて120o角とし、住宅としては骨太の設計です。


 

建て方の様子。

基礎コンクリートを打って強度が生まれるまでしばらく置いてから、いよいよ建て方です。工場で加工された柱や梁を現場で組み立てます。工事中盤のクライマックスであり、建築が立ち上がるもっともダイナミックな瞬間です。


 

その作業は規模にもよりますが普通2日から3日ほどかかります。
まず、土台を設置し、次に通し柱、管柱、胴差、2階床梁、最後に2階柱梁、小屋組へと進みます。これは2日目の写真です。


 

いの一番柱。

敷地の一番奥に位置し、最初に建てられる柱。
設計図上も「い」通り、@通りと設定。(いろは・・・、@AB・・・と番号が続く)

 

2階の小屋組みが建てられていく様子。

写真の部分は2階の子供室です。間口が1間のみ。小さな部屋です。周辺のお寺を見て廻る中で、近い大きさの空間を観察しながら決めていきました。昔の建物には、今の常識とは違う発想の柔軟さが多くみられ、時折そうやって確認します。

 

足場の上から眺める紅葉。

京都はこの11月中旬は紅葉のピークで、木々がとても美しい季節です。敷地のすぐ隣が雑木林で目の前に山桜の紅葉が見られました。

 

小屋組みがどんどん進む。

軸組みの構成がやや複雑に絡むので20分の1の軸組み模型をつくり、間違いのないよう打合せを重ねました。
木に紙が巻いてあるのは最終的に仕上げで見える部分に傷がつかないようにするためです。

     
 

材の取り付けがほぼ完了する。

2階から眺めるとほぼ狙い通りの眺望が得られました。




建て方完了。

3日目の夕方、ようやく最後の登り梁が取り付けられました。

構造体の立ち並ぶ様は、周囲の紅葉の中にすがすがしく美しいものです。

このあとお施主さんご一家ならびに工事関係者一同により上棟式が執り行われ、無事建て方を終えることができたことへの感謝とこれからの工事の無事を祈りました。

 

 

12月中旬。京都は紅葉も終わりかけです。

この日は施主さんと一緒に下賀茂神社近くの瓦屋さんの作業をお見学にうかがいました。写真は糺の森(ただすのもり)を通り抜けたときのものです。

小雨の降る参道はしっとりとした良い趣をかもしだしていました。

 


 

瓦屋さんは雨の日に屋内作業をするのが効率がよいとのこと。


 

軒瓦の微調整。

この鳴滝の家に使用する瓦は一文字瓦といって軒先の平らなものを使います。

ぴったり重ね合わせられるようにするためには一枚一枚削って微調整しなければなりません。

普段あまり見られる作業でもないですので職人さんに無理を言って見学させてもらいました。


 

グラインダーで削っているところ。

けっこうな埃が舞うので職人さんも完全防備です。この家では170枚ほどの瓦にこの加工を施します。


 

一区切りついたところ。

4枚一組として、それぞれに番号を振り、現場へ搬入します。


拡大。

この加工を施すことでようやく隣り合わせの瓦がぴったりと収まります。削った面も微妙に面取りをして手で触った感じも滑らかです。
奥行き方向にも実は調整が行われています。

大変な手間ですが、焼き物である瓦はそれぞれにクセがあり、どうしても狂いが生じてしまうものなのだそうです。それを完全に合わせるには手作業になるのだそうです。

 


 

瓦葺きに先立ってルーフィングという防水用のシートを敷きこみます。

この下には通気層といって常に空気が通り抜けるための隙間が設けられており、熱や湿気が屋根裏にこもらない仕組みになっています。


 

きれいに瓦が葺かれたところ。

いぶし銀のシブい光沢がとてもかっこいいです。
工事が終われば、目に触れなくなるのがもったいないくらいです。


 

屋根の通気層の取り込み口。

軒先に一本隙間が通っていますがここから空気が吸い込まれて棟に昇っていきます。棟のノシ瓦に排気口が仕込まれていてそこから空気が抜ける仕組みです。


 

壁の通気層。

壁にも通気層があります。軒裏で空気が抜けるようになっています。


 

サッシも取り付く。

写真は2階の連窓です。
風致地区規制ではアルミサッシはブロンズ色か黒と決められています。


 

間仕切り壁の下地。

外部と平行して内部の工事も進みます。
真壁造りなので化粧柱があります。工事中に傷が付かないように青いカバーが掛けられています。


 

床下をみたところ。

断熱材と束が見えます。断熱材はグラスウールです。最近あまり評判はよくないですが、それだけに商品開発はがんばっていて、施工性やコストパフォーマンスに優れています。撥水処理がされており、弱点であった湿気にも強くなっています。
奥のほうに基礎パッキンによるスリットが見えます。
基礎スラブには水勾配を取ったりと水・湿気対策には念を入れました。束には狂いの生じない鋼製束を使用しています。


 



1月は怒涛のように過ぎ去っていきました。
現場も造作を作り込んでいく段階になっています。

工場で製材された材料が現場に搬入されています。これが窓枠や建具枠になっていきます。


 

床下を這う配管類。

写真は給排水です。温水床暖房もありますのでさらに配管は増えます。それをうまく隠すようにルートが工夫されています。写真も多めに撮ってメンテナンスに対応できるようにしています。


 

エアコンの冷媒管。

エアコンの室外機は外部のあまり目立たない部分に設置するため、配管を天井裏に隠せるように仕込んでいきます。将来の配管のやり替えをするときのために予備のスリーブ(貫通管)もあらかじめ設置しておきます。


 

窓枠の造作。

これは2階の子供室の高窓です。
主に明かり取りに使われ、ガラスのはめ殺しとなっています。道に面していてファサードの表情を作っていくデザインの要素でもあります。


 

床板が張られてきました。

ここは居間の板の間です。ムクのナラ材をつかいます。自然塗料を塗ることで、手触り感のよさと調湿作用を期待します。


 

この家には二畳の和室があります。
コンパクトで茶室のような風合いが出るといいなと考えています。
天井からランプを吊り下げますが、メーカー品では思ったようなものが無く、いろいろ店をあたってみた挙句最後はYAHOOオークションで手に入れました。

真ん中か、右のものがよさそうです。


 

この時期はサンプルのチェックがかなり多くなっています。

これは土間の塗り見本です。
素材は色モルタルですが、なるべく本来の三和土(たたき)に近い風合いになるように検討が行われています。



 

いろんな要素が絡みあう部屋については模型をつくり、立体的に内部仕上げの検討ができるようにしました。

これは1階のLDKです。
左奥に見えるのが2畳の和室です。


 

玄関庇を上から見たところ。

隠し樋から直接下の水受けに注ぎ落とす形状です。
板金の色は風致規制で決められています。


 

和室の窓枠が出来てきました。

高さも座って丁度良いように低く抑えています。


 


洗面や浴室は天井壁ともヒノキのムク板を使いました。


 

風呂場です。

窓からはベランダ越しに山並みが眺められます。
壁に張られたフィルムは防湿用で、その上にヒノキ板を貼ります。


 

作業場。

温水床暖房が敷き込まれています。


 

はめ殺しの窓にペアガラスがつきました。


 

浴室。

壁面と天井にヒノキ板が張り付けられました。
洗い場と浴槽はハーフユニットバスを使いコストを抑えました。


 

ダイニング天井吹き抜けを見上げる。

上はユーティリティーで室内物干し場です。
床が格子になっています。


 

作業場。

掃き出し窓の上部に「ミニチュアの斗組」が取り付きます。その型板を現場で合わせつつクライアントと製作業者さんが打合せをされています。



 

外壁。

ラスモルタルのラス(金網)が取り付けられました。


 

春です。

敷地の隣が雑木林で山桜が満開でした。
ソメイヨシノとは違う風情があります。


 

外壁のラスにモルタルが塗られました。
下塗、中塗り、上塗りと手間がかかります。


 

二畳の和室の天井。

竿縁天井です。真ん中のランプは仮設電球です。ここへ先日ネットオークションで入手したランプを取り付けます。こういう天井を見上げる機会も少なくなりました。


 

作業場の天井。

こちらはお寺の格天井をモチーフにしています。
ここへクライアントにより、彩色が施されます。


 

子供室3の窓。

上にはスリット窓、下は正方形の押し出し窓です。これが街路に表情を与えます。


 

外壁の塗装。

リシンという塗料を吹き付けます。
色は風致地区規制に沿って薄茶色です。
1階はその上から杉板を貼ります。


 

外壁の色が付いてようやく全体のイメージが確認できるようになって来ました。軒裏の白ととのぼり梁の木の色と外壁、瓦のいぶし銀がなかなか落ち着いたいい雰囲気を生んでいます。


 

足場が取り払われました。

1階外壁に板が取り付けられています。


 

作業室内部。

塗装工事のためビニールで養生されています。
壁の向こうは階段です。丸窓が一つ開けられています。


 

丸窓とエアコン隠し。

丸窓はお子さんが階段の上り下りの際に作業室の様子をを覗き込めるためにつけられました。
その上の格子の中にエアコンが取り付けられます。


 

基礎の一部は立ち上がりが低いので、水が入り込まないようにU字溝を張り巡らせます。今は漉き取られて地面が低いですが、U字溝の天が最終的な高さになります。U字溝は玉石で隠すことになっています。


 

外観が出来ました。

2階のスリット窓や板壁の意匠はうまくまとまったかなと思っています。


 

バルコニーです。

この建物には横格子を随所にあしらっています。
風致規制上壁や窓に対しては縦格子でなくてはならず、なぜかバルコニーでは特に問わないとのことでした。


 

塀です。

このあたりは伝統的なモチーフを使わなければなりません。


 

木製建具。

延焼の恐れのある部分を避けて木製建具を使っています。
写真はガラスがまだはめられていない枠だけの状態です。レールにはまるよう調整を待っています。


 

作業場前のデッキを大工さんが作っているところ。写真は束石を敷き並べているところです。


 

キッチンが入りました。

クライアントと色々パターンを検討してこの位置に決まりました。アイランドにするか対面にするかという選択肢以外に、裏庭とのつながりやお子さん達がどうやったら家事に参加しやすいか方法を考えた結果です。


 

駐車場スロープのコンクリートを打設しています。


 

打設後、すべり止めに丸いカタで三つ葉模様をつけます。



 

スロープが完成しました。


 

内部の建具もほぼ完成しました。


 

庭のデッキもほぼ完成しました。


 

水場。

樋から雨水を引いてためておく水場を作りました。
樋の一部は竹を使っています。こちらは数年ごとに取り替えが必要ですが、遊びの要素としてあえて選んでいます。
たまった水は植木や、畑の水やりにも使われる予定です。


 

完成。

居間のテーブルも搬入され、埃やゴミを取り除くクリーニングが行われました。

その他、クライアントご家族の手形付けやクライミングウォールの制作など、いくつかセレモニーイベントも行いました。

前後して完了検査が風致地区の担当官と確認検査機構から行われ、工事的には終了です。 一部残工事や手直しを経て、工事金額の清算と建物の引渡しが行われました。

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