平屋の建物の周辺と上部を園庭と見立てて、森や丘が連続するような造りになっています。外部内部とも曲線を多用していて、柔らかなデザインが特徴です。 園児や大人の伸長を考慮した視線のコントロールをするため、開口部や塀、壁の高さなどを調整しています。
平面プラン。 1階は中心にホールがあり、その周囲を「みち」と読んでいる廊下を配し、その外側に保育室をやその他諸室を配した同心円状の構成です。一方、間仕切りをぐにゃぐにゃの壁で連続させ、同心円状のゾーニングを放射状に分割します。それぞれのエリアにはキッチンや、坪庭が配され、その組み合わせにより空間が特色づけられます。 屋上は段差のある構成で、ホールの上部と外周とに分かれ、段差が設けられています。その段差の隙間を利用してトップライトや配サイドライトを配し、通風換気、採光を確保します。
内部の模型 内部は、園児が自分のスペースを見つけていけるような仕掛けが随所に設けられています。真中の「ひろば」を中心に、回廊や保育室が繋がっていく様は小さな街のようです。
断面・立面図 外観は重厚かつ軽快な佇まいとしています。岡山県の閑谷学校や愛媛県の日土小学校、倉敷のアイビースクエアなども参照しながら、地域に溶け込んでいく景観をつくりだそうという意図を込めています。
保育室内観 ハイサイドサイドライトや光庭を通じて柔らかに採光が得られます。ひろば側の天井高に対し、保育室は高めの天井高で隣室と視覚的なつながりがあり、一体としての広さを共有する一方で、子供たちのスケールに合わせた遊びスペースが確保されています。開口部の高低差を利用した重力換気や屋上緑化は空調機器の負荷を軽減し、自然の空気環境をより多く楽しむことが可能です。
ひろば 遊戯室やランチルームを兼ねた園の中心的なスペース。常時出入り自由で、まちの広場でもあり、大きな家の居間のような位置づけがなされています。内部に向かって飛び出してきた4つの曲面壁はそれぞれ役割の違う要素で構成されています。光庭・暖炉(パン窯)・キッチン・エントランスホールがあり、その間に「みち=回廊空間」へと連続する通路やステージが配置されています。
エントランス付近 外部は大人の背丈ほどの開口部が外周を巻いていて中の様子が垣間見えます。 駐車場なども緑化され、木が育ち、建物の経年変化がすすむにつれ敷地全体の味わいが増してきます。 送り迎えをする保護者にとっても、ひとときの安らぎの時間となることを目論んでいます。